ゆるり日記

息抜きに身の回りのことや聖書のことなど気の赴くまま書きます

アメージング・グレイス誕生物語

ゴスペルやジャズにもアレンジされ時代を超えて愛されている名曲「アメージング・グレイス」は18世紀にイギリスの牧師ジョン・ニュートンの作詞によって誕生した讃美歌です。

ジョン・ニュートンの母エリザべスは彼が将来牧師になることを願って、3歳で聖書、4歳で教理問答や讃美歌などを教え、6歳でラテン語を彼に教え始めました。ジョンは記憶力が抜群で大変優秀でしたが、エリザベスは彼が7歳になる直前に亡くなりました。

成長した彼は船乗りになり奴隷貿易船の船長をして富を得ていました。当時の奴隷に対する扱いは想像を絶するほど酷いもので家畜以下の扱いでした。

ある日、彼が乗っていた船が嵐に会って浸水し、沈没の危機に瀕しました。それまで彼は真剣に神に祈ったことはありませんでしたが、その時初めて必死に神を呼び、心から祈りました。

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船は沈没を免れて彼は生き延びましたが、その日を境に彼は奴隷商人をしている罪深い自分に神が赦しを与えて下さったことに深く感謝するようになり、母が残してくれた聖書を読むようになって飲酒やギャンブルをやめました。

やがて牧師の道へと進んだ彼が過去を悔いる気持ちと、自分の罪を赦してくださった神への感謝を述べるために書いたのが今では広く知れ渡るようになった「アメージング・グレイス」です。

この「Amazing」という言葉は「驚くべき」と訳されますが、実はそれでは言い表せきれない「常識では想像できないほどに驚くべき」という強い言葉です。なぜなら「自分のような無頼漢=どうにもならないならず者を救って下さったからと書いています。

彼が書いた「アメージング・グレイス」の原歌は次の通りです。

  • 驚くべきみ恵み!何と胸をときめかせる言葉か!私のような無頼漢をさえ救いたもうたとは!私はかつて失われていたのですが、今や神に見いだされ、かつて目が見えなかったのですが、今や見ることができます。
  • み恵みが私に恐怖を教え、そのみ恵みが私を恐怖から救ってくれました。そのみ恵みは、何と貴く見えたことでしょうか、私が初めて信じたときに!
  • 多くの危険、困難や誘惑を私はくぐり抜けてきました。み恵みがここまで私を安全に導いてくれたのです。そしてみ恵みが私を天のふるさとに導いてくれます。
  • 主は私に恵みを約束されました。主のみことばに私は望みをおきます。主こそ私の盾、分け前です。私が生きるかぎり。私の心と体が弱り、地上の生が終わるとき、天国において喜びと平安が与えられるのです。
  • 大地はやがて雪のように溶け、太陽も光を失うときがきます。しかし、私を地上において招きたもうた神は、とこしえに私のものです。

              「讃美歌・聖歌ものがたり」大塚 野百合著 創元社より

 

やがてこの曲は奴隷たちの側にも黒人霊歌として受け入れられました。また、18世紀に奴隷制度廃止に生涯情熱を傾けたイギリスの政治家ウイリアム・ウイルバーフォースはこの讃美歌「アメージング・グレイス」に支えられて信念を貫き通しました。

 

ウイリアム・バーフォースの伝記が映画になっていて地域限定のようですがAmazonプライムでも観られるようです。